「暗号資産」と「仮想通貨」。どちらの方を良く耳にしますか?
ビットコインやイーサリアムといった名称を聞いたことがある方も多いと思います。
本記事では、暗号資産初心者の方に向け、暗号資産と仮想通貨の違いとともにその仕組みをわかりやすく、簡単に解説したいと思います。
目次
暗号資産(仮想通貨)とは?
暗号資産の定義
日本銀行のホームページによると、
「暗号遺産(仮想通貨)」とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値であり、「資金決済に関する法律」において次の性質を持つと定義されます。
(1)不特定のものに対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
(2)電子的に記録され、移転できる
(3)法定通貨又は法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない。
以上、よくある質問「教えて!にちぎん」より。
(出典:https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/money/c27.htm)
暗号資産の5つの特徴(要約)
上記定義を要約すると、
①財産的価値がある
②代金の支払いに使用できる
③法定通貨と交換できる
④電子的記録により、所有権を移すことができる
⑤法定通貨ではない
つまり、「法定通貨ではないが財産的価値があり、各種代金の支払いに使用できるモノ」※
ということになります。
(※暗号資産を取り扱っているお店やサービスに限ります)
しかし、法定通貨の紙幣や硬貨のように物理的実体があるわけではなく、あくまで、電子的に記録されたデジタルデータとしての通貨です。
暗号資産と仮想通貨の違い
結論から言えば、
暗号資産:新しい呼称(日本における正式な呼称)
仮想通貨:古い呼称(2019年4月までの呼称)
もともと、日本では「仮想通貨」と呼んでいました。しかし、2018年に行なわれたG20サミットで、「仮想通貨は通貨としての特性を欠いている」として、法定通貨と区別するために、「暗号資産」と呼ばれることになりました。
日本では、2019年5月に成立した改正資金決済法によって、正式に「暗号資産」と呼ぶことになりました。
したがって、法律的には「暗号資産」が正式名称ですが、「仮想通貨」と呼んできたことの方が長いため、「仮想通貨」と言っても日常的には通用します。
理由はともかく、意識的に「仮想通貨」と呼ぶ方もいるようです。
暗号資産と法定通貨の違い
法定通貨との違い
暗号資産の仕組みを理解する前に、法定通貨との違いを理解しておきましょう。
暗号資産は発行者や管理者がいない
法定通貨は、政府や中央銀行(日本では日本銀行)が発行し管理をしています。中央集権的な管理者が通貨を発行し、管理をしているということです。
そして、直接手渡し等でない限り、通貨を送金もしくは受領を行うには、銀行などの金融機関を介する必要があります。
一方、暗号資産は、中央集権的管理者を必要としません。ブロックチェーン(分散型取引台帳)と呼ばれる取引データを記録した台帳によってプログラム的に管理されており、参加者全員によって監視されています。
暗号資産は発行量が決まっている
法定通貨には、発行量に制限はありません。しかし、何の計画性もなく発行すれば、インフレやデフレを誘発することになるため、法定通貨としての安定した価値を保つために、政府や中央銀行によって発行量をコントロールされています。
暗号資産は、世の中に出回る前に発行量が決まっています。総発行量が決まっていることが、暗号資産の価値(価格)を決める一つの要素にもなっています。
発行数量は暗号資産の種類によって大きく異なりますが、一番有名なビットコイン(BTC)の場合、総発行量は2,100万ビットコインとあらかじめプログラムされており、2009年に運用を開始され、2023年には1900万コイン以上が発行されています。
暗号資産の仕組み
重要な3つのルール
①取引記録の処理したものに報酬が支払われる
②すべての取引記録が公開されている
③自律分散型である
取引記録処理をしたものに報酬が支払われる
暗号資産は個別の取引毎に、その取引が正しく行われたことを承認し、取引記録を更新する人がいることで取引が成り立っています。この一連の処理のことをマイニング(採掘)と呼び、これに参加している人(企業)をマイナー(採掘者)と呼びます。
この承認・更新作業は誰でも参加することができ、多数いるマイナーの中で、一番早くこの処理を行った人は、報酬としてその暗号資産をもらえる仕組みとなっています。(一部例外あり)
全ての取引記録が公開されている
暗号資産の取引はすべて公開されているため、仮に不正した場合でも、その不正によって暗号資産がどこにいったかなどがすぐに発見されてしまいます。そして、取引を承認するすべてのマイナーによって監視されているため、不正や改ざん、ハッキングは極めて困難と言われています。
過去のハッキング事件は、暗号資産を扱う取引所のシステムがハッキングされ、暗号資産が盗まれたのであって、暗号資産そのものがハッキングにあったわけではありません。
自律分散型である
暗号資産には政府や中央銀行などの中央集権的な発行者や管理者がいないということは、すでにお伝えしました。
公開後の暗号資産は、その暗号資産に参加するすべての人によって監視され、取引は処理されます。そして、取引そのものは、銀行などの金融機関を介さず、個人間で行うことができることから、法定通貨が「中央集権型」であるのに対し、暗号資産は「自律分散型」と呼ぶことができます。
つまり、わかりやすく言えば、「参加者自身が番人となり、一政府や企業に依存しない取引が可能である」ということになります。
暗号資産の価値は需要と供給のバランスで決まる
法定通貨は政府や中央銀行が物価上昇率、経済成長率、インフレ、デフレ等様々な要素を加味して発行数量をコントロールし、価値をコントロールしています。
これに対し、暗号資産は、インフレもデフレも物価上昇も関係ありません。参加者が増え、ニーズ(需要)が多くなればなるほど取引量が増え、価格が上昇します。
発行数量が決められているため、数量が限られているものに対し需要が多くなれば、当然価格は上がります。
まとめ
暗号資産は、その仕組みや評価基準が法定通貨と明確に異なりますが、「財産的価値があるもの」として認められています。
そのため、投資対象として取引量は年々増えており、利用者も増えています。
正しく理解し、効果的な利用に心がけたいものです。
このブログでは、引き続き暗号資産に関わる情報を発信していきますので、暗号資産で資産構築を検討している方の参考になれば幸いです。